若い保母さんが病院の医療相談室にこられて、「冷蔵庫というのは消毒すればきれいになるのでしょうか」といきなり質問しました。どういうことか聞いてみたら、24時間蓄尿して検査をしなければならないので、ビニールの入れ物を渡された。自分はほかの保母さんと4人で共同生活しているのだが、夏だからこれはどうやっておいたら腐らないでしょうかと聞いた。すると医者は、「冷蔵庫に入れておきなさい」と言ったそうです。ルームメイトは話せばわかってくれると思うけれど、そのあと消毒すればいいんでしょうかというのが冒頭の質問だったのです。
そのとき考えたのは、冷蔵庫に入れなさいと言った医師の頭の中には、自分の家のダイニングキッチンにある冷蔵庫は思い浮かばなかった。おそらく病院用の大きな冷蔵庫だっただろうということです。そういうときに、そういうことはできないとは言えない患者の立場、ほかに何か方法はないのでしょうかとは言えない立場というのがあるのだなとつくづく思いました。
婦長に私が聞いたら、「それは錠剤を入れればいいんですよ。帰りに取りにくるように言って下さい」と言われてかたがついたのですが、そういったことも一般人にはわからない。そして人というのは、わからないことを率直に知らないとは言いにくい、しかも専門家には質問や反論がしにくいということです。
理解したかどうか確認してみる
したがって、不安が強いときには悪いほうに解釈しやすいということも考え合わせると、しろうとにわからない言葉が多い医療の世界の中では、なるべくわかるように話すのが大切ということになります。