その方は聞きにきて下さったから説明ができたのですが、専門家として当たり前のこととして使っている言葉が、非常に不安が強く、しかもそういう言葉に慣れていない人にとっては悪いほうに解釈されてしまう可能性が高い。
先日の新聞にも次のような投書が載っていました。
いもあらい?脳の検査とは
母の友人が、初めて脳外科でMRI(核磁気共鳴映像法)の検査を受けることになり、その予約後に「今度、いもあらいの検査を受けることになったの」と母に話したのです。聞いた母も、「芋洗い?」と不思議だったのですが、話しているうちに、かつてテレビで見たことがあったMRIの検査と気づいたそうです。
MRIを「芋洗い」と聞き取り、本人も不思議ながらも、お医者さんには「何ですか」とは聞けなかったのでしょう。笑い話のようですが、高齢の方ならありがちなことだと思います。
私も3年前に大病をし、エコー(超音波検査)やCT(コンピューター断層撮影)、MRIなど、医療現場の言葉に大変戸惑いました。薬の名前も血液検査の項目もカタカナやアルファベットの略で、理解するのは30代の私でも大変です。でもそれは、現場では日常的に使われているので、医師からの説明はありません。
CTを受けに行ったのにレントゲン室から呼ばれ、不審に思い尋ねると、名前が一字違いの方がCTを受けていたというミスにも遭遇しました。病院側の確認ミスもありますが、私の代わりになった方は、たぶんCTを理解していなかったのです。患者側も、自分が受ける医療行為を出来るだけ理解し、高齢の方は、必ず複数で医師の説明を受けるべきだと思います。(札幌・M子) 朝日新聞「声」欄より