先ほど言いましたように、アメリカ人は日本人のようにはいちいちうなずきませんから、その医者がうなずけば、自分のことを本当に受け入れて聞いてくれているのだという印象を持つのだと思います。
もうひとつは「腕組みや足組みをしない医者」、それから「椅子にふんぞりかえって座っていない医者」。
これをすべて翻訳しますと「患者の話をよく聞く」ということです。患者を受け入れているということが患者にどう伝わったかというと、やはりその人の態度・動作によって伝わっているということです。
もっとも、この話を医学部の学生にするときには、何も知らなくても首を縦に振っていればいいということではないのだという注はつけます(笑い)。たとえいくら知識があって、いくら患者さんのことを思っていても、話を聞きながらよそを向いていたり、話を聞きながら腕組みをしていたり、ノートをとるのに忙しかったりとなると、患者にとっては、この医師は自分のことを本当によくわかってくれているとは思えないということです。
コミュニケーションを妨げるもの
コミュニケーションの壁ですが、どういうときに話が通じなくなるのかというと、ひとつは話し合いをしている2人の生活背景が違うこと、それから経験の相違ということもあります。若い方とお年よりが話しているときに話が通じなくなるというのは、共通の言葉をもっていないからということがあるかもしれません。