日本ではまだまだこの時期は親が子どもに小さなことまで指示し、また親が代わってしてあげているのではないでしょうか。鼻水が出ていると、子どもが自分でふく前に、お母さんやお父さんが鼻をふいてあげます。ごはんをこぼせば、拾ってあげます。洋服も着せてあげ、部屋も(もちろん子どもが全部ができるわけではありませんが)、何から何まで整理整とんしてあげることが多いのではないでしょうか。
b. 子どもは親をコントロールする
子どもは、巧みに親を支配することを心得ています。本能的にです。たとえば夏休みに「宿題を早くやりなさい。あとで困るよ」と言われて、子どもは「わかった」と答えても、すぐにしようとはしません。子どもはまだやっていないと言うと、「早くやりなさい」と言われ、遊ばせてもらえなくなることを知っているからです。大体、夏休みの終わる数日前に、「まだ何もやっていない・・・・・・」と泣かれると、親は「やりなさい」というどころか、親がねじり鉢巻きで一生懸命やってあげたりする。親は子どもにコントロールされ、まんまと乗せられているのです。これではバウンドリーはできません。
c. 機能的バウンドリーの芽
小学校1年から6年というのは、自分でやれるように学ばせるのが親の役割であり、これが機能的バウンドリーです。機能的バウンドリーの基礎がここで築かれる必要があります。この時期にそれを学べないと、高校生、大学生になっても、親が「テレビ見ないで勉強しなさい」と言わなければならなくなるわけです。この時期にそれがきちんとできていないと、まだテレビを見る時間と勉強の時間をよくコントロールできないのです。これは機能的バウンドリーがまだできていないからです。機能的バウンドリーができるためには、少なくともこの時期に「楽しみはあとにして、やるべきことを先にやる」ことを実践させることです。