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ですから、父親が子どもと関わらないと、子どもは性別の役割を正しく学習できず、混乱さえしてしまうのです。同性愛的な思いや感情が早い時期から意識される場合は、この時期に問題があったとも考えられます。つまり、性別のバウンドリーが明確に確立しないために、男女の境が混乱してしまうのです。

 

b. 同一化しにくい父と母

さらに、父親が非常にワンマン的で支配的だと、子どもは父親と同一化していくのが困難になります。子どもは恐怖感をもってしまい、父子関係を成立させることがむずかしくなります。あるいは母親が非常に神経質で小さなことにもピリピリしていると、女の子が母親と同一化することが困難になり、その後でさまざまな問題が生じてきてしまうことがあります。たとえば大人になって社会の現実に直面し、いろいろな問題にもぶつかりますが、そのとき現実の困難に打ち負かされ、忍耐して対応することができず、出社することができなくなったり、あるいは情緒不安になったり、対人恐怖症になったりすることがあります。それは父との同一化を通して現実に問題があってなお生きつづける父親の姿をとり入れることに失敗したからです。

 

6) 6〜12歳――自分でバウンドリーを築く

それから6歳から12歳の時期です。この時期は「仕事、作業ができる」ことですが、この時期の仕事とか作業というのは、子どもにとって一番の中心は学校の勉強です。子どもは学校に行きますから、親から離れる時間が非常に長くなります。したがって、子ども自身が自分でバウンドリーを築いていけるような関わりをもつことが大事です。

 

a. 親は子どもから手を引きなさい

子どもに「何かしなさい」と命令して、強制して何かをさせるのではなくて、子ども自身が自分でするように学ばせていくのが親の役割です。

 

 

 

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