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これからバウンドリーを築いていこうとするならそこはしっかりと乗り越えなければならない領域かもしれません。

 

5) 3〜5歳――性別の役割を学ぶ

3歳から5歳の時期は、性別の役割の発達です。バウンドリーという面から見ますと、性別の役割について学ぶ時期であるということです。わりと早い時期に性別について学ぶのだと思われるかもしれません。

 

a. 父親不在の影響は小さくない

最近の日本人を電車の中などで見ていると、男女の区別が少なくなったような気がします。男性は非常にやさしくなったという感じです。もちろんやさしいことはよいことですが、男性としての特長まで失うとなると、3〜5歳の時期に何か問題があったのではと疑うこともあります。性別の役割を学ぶこの時期に父親が不在のことが多いのではないでしょうか。子どもが3歳から5歳というと、父親は大体30代で、仕事が非常に忙しい時期です。帰りも遅いでしょう。父親が帰って来たときには子どもは寝てしまっています。そして、土曜、日曜は疲れてしまい子どものために使うエネルギーはそんなに残っていません。一般的に、この時期には父親の存在は薄いといえるのではないかと思います。男の子は父親、女の子は母親に同一化しようとして、たとえば男の子はネクタイを締めたり、女の子は口紅をつけたり、化粧をしたりしたがります。もちろん、そういうことだけではなくて、男の子は父親と時間を共にしながら内面的にも同一化していき、また女の子は同様に母親と同一化していくのです。“やさしい男性”というと、男性的でやさしいというより、女性化した男性のやさしさと思いこんではいないでしょうか。この時期の子どもをもつ親は結婚して数年たっていますから、家庭内では女性が強くて、家庭をコントロールしています。

 

 

 

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