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4) 18〜36ヶ月――自分を失うことなく情緒的に結合する

第4のバウンドリーの段階は18ヶ月から36ヶ月、つまり1歳半から3歳までです。もし、前段階の学習が身についていないと、この時期のトレーニングは困難かもしれません。それは、自分を失うことなく情緒的に結合できるということです。

 

a. 変わりつつある家族の姿

このバウンドリーの概念は日本人的な考え方とはちょっと違っていて、伝統的な日本的な考え方にはなかったものです。しかし、日本の伝統的な家族主義は少しずつ変化を強いられています。はじめにも言いましたが、核家族、少子化などとともに、伝統的な終身雇用制度も少しずつ見直されています。自立をしないと、このような変化に対応することが困難になってきます。だからといってアメリカやヨーロッパのような個人主義は日本人にはふさわしくありませんが、バウンドリーの形成を通して、日本人としての自立を目指すことが重要です。そうしないと、これからの時代を生きていくのは困難になるでしょう。以前のように家庭内で何となくみんなでやってきた時代は過ぎてしまい、これからは、互いに自立し、家庭内でできることと、できないことを区別し、外部から必要な援助を受けなければならない時代になっていきます。特にいまは、出生率が1.5人に落ち込んおり、これまでの日本の伝統的な家族概念は変わりつつあります。私は兄弟姉妹が7人でしたが、それでも特に多いと思うことはありませんでした。それに長男のお嫁さんが入り、そこに子どもが生まれたりすると、家族は10人を超えることもめずらしいことではありませんでした。このような家族環境では互いに家族同士で補い合えることが多かったのですが、現代では家族全体でも2、3人ですから、過去のような機能は期待できません。そのような中で自分を正しく確立していくことは、これからの時代には何をするにも必要です。バウンドリーというのは、いままでの日本のシステムとは違ったシステムですが、嫁姑の問題、あるいは介護の問題なども、このバウンドリーの実践を通して閉鎖的な状況を打開する手がかりをつかめるのではないでしょうか。

 

 

 

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