2人の間にバウンドリーがない。しかし、距離や時間のバウンドリーが築けないときに、その方に対して感情的にではなく、事務的に関わることでバウンドリーが築けます。“よそよそしくなる”のとはちょっと違います。それはあまり感情を関わらせないことです。感情的に非常にエキサイトしたような関わりになったときに、片方が事務的に関わっていくことです。たとえば仕事上のことで何か話さなければならないことがあっても、あまり感情的ではなく事務的な形で話して用事だけを終えていくことです。
人間の感情は、いったん興奮した場合でも確実に下がります。感情的に高まって2人の間に問題が生じている場合、その間は解決するのは不可能だと考えることです。人間の感情というのはいつも興奮した状態ではないのです。したがって、感情的に高まっている時期は、何を話しても、どんなによい提案をしてもだめです。感情が元に戻るまでは感情的な関わりをもたないことです。これが「感情的な距離をおく」ということです。もし、興奮した状態が長期間続くとするなら、情緒障害の恐れがあります。
以上6つのバウンドリーの具体的な例を挙げましたが、これらの具体的なバウンドリーを対人関係で用いるとき、バウンドリーはただちに築かれます。発達の段階(
6章参照
)でバウンドリーが十分に確立していない方々にとっても、これらの具体的なバウンドリーを土台として人間関係を築くことができます。