5) 人々
5番目の例は、“人を間に入れる”ことで、バウンドリーを築くことが可能です。たとえば、「ノー」も言えないほど人間関係が癒着しているような場合があります。言われたら絶対に「ノー」とは言えない、その人の思うままになってしまうようなときに、ただ単に距離や時間をおくだけでなく、人をその人との間に入れることです。私たちはよく“間に入ってもらう”と言いますが、これは日本人が上手です。言いにくいことを誰かに間に入ってもらって、2人の間の問題を解決してもらうのです。
以前の日本の結婚の形式もまさにこれだと思います。仲人がいます。男女の仲をそういう形でとりもつのです。日本人は男と女の関わりというのはトレーニングされていませんでした。現在は仲人をたててお見合いで結婚する人は多くないのかもしれませんが、以前はバウンドリーが十分になくて、冷静に話し合うことができないために、誰かを間に入れて少しずつお互いを知っていくというプロセスをたどったのですが、これはバウンドリーの原則にのっとった方法です。
それ以外にも、たとえば誤解を受けたりしたときなど、そこにはバウンドリーが出来上がっていないので、誰かを間に入れて2人の話を聞いてあげます。まさにこれはバウンドリーの原則が実践されていることです。
6) 感情的な距離
最後の例は、“感情的な距離”です。たとえば2人の間が感情的に非常にエキサイトしていて、ちょっとでも刺激を加えると爆発するような、あるいはすでにそのようになってしまって、2人はもう冷静には話せない場合です。職場における人間関係の中で、あるいは家庭においてもそうだと思いますが、2人が話し合えばすぐ喧嘩になってしまう。