日本財団 図書館


“怪しい”“危ない”ということがわかります。わからないと中へ侵入されてしまいます。

たとえば自己啓発セミナーなどもマインドコントロール的な手法が用いられている場合もあります。一般の参加者にはそれを見分けることは困難です。一度出席すると、ズルズルと入りこみ、全体を把握することができなくなり、片寄った見方をするようになります。あるいは人間関係においても、強くコントロールするようなタイプの人が自分の周りにいると振り回され、わずらわされてしまうこともあります。そのような人と離れたくても離れることがむずかしかったりすることがあります。バウンドリーがないと、そのような人が近づいてきても心の警報システムが働かないのです。どうしてあんなに傷つけ合うのにくっついていなければならないのかと思えるような人間関係は、まさにこのバウンドリーがないからなのです。

 

3) 引き下がるのを助ける

「引き下がるのを助ける」のもバウンドリーの機能です。自分のバウンドリーを越えて確かめなければならないことなのか、そうでないことなのかがわからないこともあります。たとえば、職場やサークルで知り合った人が自分にとって友人としてつきあえるかどうかを判断するためには、ある程度、相手の好みに合わせて関わることも必要になるでしょう。そうしないとその人の本当の姿がわからないこともあるからです。自分のバウンドリーの範囲内だけでは相手を知るのに限界がある場合、それを少し越えて関わってみてこの人は自分の友にはなりえないと感じたときに引き下がることをしないと、長期間にわたって悩まされることになります。バウンドリーがないと、相手に悪いからとか、迷惑をかけるなどという理由でズルズルと関わってしまうようになります。しかし、バウンドリーがあると引き下がることができるのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION