持ってきたいろんな優待券を何枚も私に渡すのです。「どんなに下さっても、もうとっていますのでよろしいです」と言うのですが、20分くらい粘ったでしょうか。でもこの人はだめとあきらめると、私の手から優待券を奪ってしまいました。こんなにつきあってあげたのですから数枚残しておいてもいいのではないかと思いましたが、そううまくはいきませんでした。
彼のやり方には少々驚きましたが、私は冷静にあくまでも「ノー」をくり返しました。これがバウンドリーなのです。家のセキュリティ・システムは突破できましたが、私のバウンドリーまで侵入することはできませんでした。
このようにバウンドリーができていますと、よいものを受け入れ、だめなものは拒絶することができるのです。たとえば、明確なプランがあるにもかかわらず誘われると断り切れないでついて行ってしまう。まさに、バウンドリーがないという証拠です。別に誘う人が悪いのではありません。自分のプランがあるにもかかわらずそれを受け入れてしまうというのは、まさにバウンドリーがないために望まないものを自分の計画に入らせてしまうのです。
このようなことを繰り返していますと、バウンドリーが侵され、内面に怒りがたまってくるようになります。
多くの日本人は、我慢して問題を解決しようとしますが、一時的には忘れられても深いところに怒りが蓄積され、何かのきっかけで切れてしまい、そのときはもうコントロールができなくなります。切れやすいというのはまさにバウンドリーのない人の特色といえます。
バウンドリーが確立していれば、我慢するというより、どう対応するかを考えます。自分で解決できることは自分の責任で対処します。逆に、できないことに関してはよいものは取り入れることで対処します。