けれども、その防犯システムが確立していないと、家に侵入してきて何かを盗られてしまうのではないでしょうか。
『防犯白書』によると、家の中に誰か家族がいるときのほうが泥棒に入られやすいのだそうです。泥棒は、それこそ1、2メートル先に誰かがいても盗んでいくそうです。その原因は、きちんとした防犯システムができていないからです。逆に、よいセキュリティ・システムがあれば都合の悪い人を入れません。たとえば、チャイムが鳴ったとします。インターフォンがあれば「どなたですか」と聞けます。もし、「宅配便です」と言ったら、警戒もせずに家に入れるのではないでしょうか。何か荷物を届けにきたのだということがわかるからです。逆に、「○○新聞の勧誘員です」と言えば、「間にあっています」と言って、家に入れることはしません。
私が帰国後しばらく住んだ家でのことですが、ある夜、インターフォンが鳴りました。「はい」と言ってインターフォンで話しましたが、相手の言っていることがよくわかりません。ハワイにいたころにはそういうことはよくありました。ハワイにはいろいろな人種の人々が住んでいますから、フィリピンの方などは現地の言葉で話されると、もちろん全然わかりません。あるいは、なまりの強い英語であればなかなかわからなくて聞き返すようなこともありました。しかし、日本ですから、わからないわけがないのですが、どうもモグモグと言っていてよく聞き取れません。私は思い切って外に出てみました。そうしたら、男の人が門の外にいます。「どなたですか」と近づいていったら、新聞の勧誘員でした。わざときちんと言わなかったのかもしれません。以前来たときには「○○新聞です」と言ったので、「もう新聞はとっていますので、よろしいです」と断れたのです。そういうことがあったので意識的にわからないように言ったのかどうかはわかりませんが、すでに新聞をとっていましたので、「とっているので、よろしいです」と何度も私は冷静に言うのですが、なかなか粘るのです。