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この母親は、ある心理学者に相談したときにこの原則がわかりました。心理学者が何と言ったかというと、「娘さんがお風呂に入ってしばらくしたら、つまり、いつも30分入っているとしたら、15分ぐらいのときにタンクのお湯の栓を締めなさい」と。どうなったかといいますと、そのときは、おそらく冬だったのかもしれません。娘さんは気持ちよく入っていました。まだ15分だ、あと15分は大丈夫だと思っていたのです。そうしたら、突然お湯のシャワーが水になったのです。娘さんは「ギャーッ」と悲鳴をあげてシャワーから飛び出たそうです。それ以降は、そういうことはしなくなったというのです。シャワーをどのくらい使うかというのは娘さんの領域です。一方、お母さんにとっては何ができるのでしょうか。自分の側にあるものはタンクです。自分のやれることはタンクの栓を閉めることです。

母親は、一度経験をさせても止まなかったらどうしたらよいかと聞いたそうです。それに対して「同じように何回でも15分たったら栓を閉めることです」と心理学者は明快に答えました。でも1回で効果があったのです。

このように自分の責任の範囲内で対応するとき、娘さんも責任のある行動をするようになります。バウンドリーの確立は、あらゆる人間関係の基本なのです。

 

 

 

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