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このような見方の転換は、その人の対人関係を根本から変えるようになります。いままでは相手次第だったのが、主体が自分になります。その結果、たとえ相手が変わらなくてもフラストレーションが最小限になり冷静に対応できるようになるため、最終的には相手も変わるようになるのです。

 

【事例2】

もう一つの例をお話ししましょう。アメリカでのことですが、ティーンエイジャーというのはどこの国でもむずかしい年代です。ティーンエイジャーの女の子のシャワーのことです。シャワーのお湯はタンクの中に入っているのですが、タンクには一定量のお湯しか入っていません。ですから、そのお湯を全部使ってしまうと、しばらくは水しか出なくなるのですが、彼女は水になるまでお湯を全部使ってしまうというのです。30分も40分もシャワーを使って、次の人が入ろうとすると水になっていますから、次に使う人はしばらく待たなければなりません。お母さんは、娘に何回も注意しましたが、いつもお湯がなくなるまで使ってしまうのです。

このような状況では、ほとんどの母親は、言うことを聞かない娘が問題だと考えるでしょう。娘が変わらないと問題は解決しないと。こうなると親のフラストレーションはピークに達し、ゆううつにさえなるでしょう。しかし、バウンドリーの原則でこの母娘の関係を見直すなら、問題の所在が逆になり、母親の無力感は一掃されて、効果的な手を打つことが可能となるのです。つまり、この問題を自分の問題として責任は自分にあると考えることです。自分の責任と考えると、自分になすべきことがあることがわかってきます。

 

 

 

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