日本財団 図書館


第5回国際保健フィールドワークフェローシップに参加して

 

田畑 栄美(愛媛大学4年)

このフィールドワークに参加させて頂いて、私は感謝の気持ちでいっぱいです。応募した時、倍率が高いと聞いていたこともあってきっと無理だろう、と思っていた私は、合格の通知を手にした瞬間から「嬉しい」という気持ちと共に不安でした。実際フィールドワークの始めから自分の知識不足を痛感し、国内研修に参加している人や、今回残念ながら参加できなかった沢山の人の代表であるという責任をひしひしと感じました。そして、それに押しつぶされそうになったことも度々ありました。しかし、フィールドワークを終えた今、全国の「国際保健」という絆でつながった仲間達と出会い、共に過ごした11日間で得たものは私が認識している以上に大きいものだと思います。

実際にスモーキーマウンテンの山から立ち上る煙を目にした時、ハンセン病の患者さんの不自由な足に触れさせて頂いた時、ゴーゴーバーに行って踊っている女の子と目が合った時など、毎日のフィールドワークの中で頭から離れない、身体が覚えているような、そんな強烈な一瞬があります。それは、ただ本で読んだりして知識として知っているということとは全く違う一瞬です。これから生きていく上で、このような一瞬の記憶が何度も何度もフィードバックされて自分の生き方を変えていくのではないか、と思います。

今回のフィールドワークに参加している時からずっと自分の中で考えさせられている事は「幸せ」とは何か、ということです。スモーキーマウンテンでNGOの代表をなさっているパルマさんは、ごみ処理問題についての活動をしていく上で脅迫されているけれど神様が側にいらっしゃるから負けない、と言われていました。また、スモーキーマウンテンの中では、お葬式の資金が集まるまでご遺体といっしょに待っている人々がいました。フィリピンでは80%強の人が自分の事を「幸せ」と答えるそうです。「幸せ」には経済的なもの、社会的なものなど様々な要素が関わっていると思います。彼らにとって「幸せ」とは何を意味するのか今の私にははっきりとした答えは出せません。しかし、一部分しか見ていないとは思いますが、日本で私はあまり感じなかった「幸せ」の形がフィリピンの中にあるように思いました。

フィールドワークを終えた今、自分の国際保健に対する考え方が以前とは変わったと感じます。それは「国際保健」ということに対して以前は身構えてしまっていた私ですが、今やるべきことは地に足をつけて土台をしっかり固めておくことなのではないか、ということです。フィリピンでNGOを訪問する際にダイオキシンについての知識を尋ねられた時、また、フィリピンのHealth Centerでフィリピンの母子保健について学んだ時など11日間のあらゆる場面において自分の基本的な知識不足を実感しました。医学的知識だけでなく一般常識に至るまで自分の国のことすらあまりに知らない。語学力を主としたコミュニケーション能力にしてもです。このフィールドワークをスタートにして少しでも将来の夢に近づけるよう地面を固めていきたいと思います。

最後になりましたが、今回のフィールドワークでお世話になった方々に心から御礼申し上げます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION