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自分が今まで無関心だった事が恥ずかしかった。 (文責:田畑栄美)

 

(結核予防会結核研究所にて)

(財)結核予防会結核研究所 国際協力部 総括主任 吉山  崇

 

1. 結核の基礎

結核菌は長さ1〜4μm、幅0.3〜0.6μmの棒状の菌で、表面はロウ状の物質の丈夫な膜で覆われ、菌がくっつきあい房状になっているのが特徴。分類学的にはハンセン病を起こすらい菌とともに「抗酸菌」に属する。結核症はこの結核菌によって起こる疾患で病気となるまで菌が体中に入り感染を起こす段階と体の中に入り感染を起こす段階とに分かれる。90%は肺に起こる(肺結核vs肺外結核)。感染は肺結核患者(主に喀痰塗沫陽性患者)からでた咳、痰によって主におこる。発病するかどうかは体の抵抗力による。死亡を起こす病原体としては、C型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルスについで、多くの人の命を奪っている。症状としては咳、痰が2週間続くときは結核を疑う。その他−熱、寝汗、血痰、胸痛、体重減少。家族、親戚、親しい知り合いに結核患者がいる場合、感染している可能性が高い。1996年には、日本全国で42,427人の発病があり(人口の0.03%)、2,858人の死亡(死亡原因22位)であった。1996年における世界中の結核患者は届出数で約381万人であった。そのうち、感染力の高い塗沫陽性患者は約129万人、実際は、その約2.6倍の330万人であり、西太平洋地域では、フィリピンにおける患者の発生率が高いと考えられている。

 

2. 結核対策

DOTによるWHOの結核対策の戦略

1.Government commitment-power,budget,manual

2.Case finding-laboratory network for smear examination

3.Case holding-directly observed treatment,short course

4.Logistics-supply of drugs and reagents

5.Recording/reporting/supervision/training

WHOの結核対策の目標として、発見された塗抹陽性患者の85%を治癒し、存在する塗抹陽性患者の70%を発見することで、世界中で結核対策の強化に乗り出している。

結核を治すには、患者が有効な薬を確実に服用させる。半年〜8ヶ月間で治療が完了する短期で有効な化学療法(リファンピシン、ヒドラジドの2種類を軸に最初4剤、続いて2〜3剤を合計6カ月使う)を用い、さらに患者が薬を確実に服用していることを確認しながら治療を進めるDOTS(Directly Observed Treatment,Short course,短期化学療法による直接監視下治療)を採用している。また、患者の記録・報告のシステム、薬の供給体制も重要である。発見するには検査技師の能力向上、検査環境の整備等を含めて臨床検査のQCが非常に重要となる。

 

 

 

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