3月5日(金)
○本日のスケジュール・内容
国立療養所多磨全生園・高松宮記念ハンセン病資料館にて講義・見学
結核予防会結核研究所にて講義
(国立療養所多磨全生園)
(座長)国立療養所多磨全生園 園長 菊地 敬一
1. ハンセン病の現状と国際協力
国立感染症研究所ハンセン病研究センター長 松尾 英一
ハンセン病は抗酸菌(らい菌)による慢性の感染症。表在性組織、特に皮膚や末梢神経が侵される病気である。感染力は弱く、長期間、通常反復してハンセン病患者に直接接触し、抵抗力が弱い場合に感染し、感染しても通常は発病しない。患者の免疫不全の程度により組織像、臨床症状や予後が異なり、治癒後、後遺症を残すことが問題とされている。
WHOによると、世界のハンセン病患者は1997年のデータで110万人、東南アジアに多い。(ちなみにフィリピンは世界で13番目。)
WHOはMDT方式(複合化学療法)を確立し、2000年までのハンセン病制圧を宣言した。「すべての人に健康を」という目標を達成するためには、後遺症や合併症への十分な対策が必要である。
2. ハンセン病の基礎と臨床 国立療養所多磨全生園 皮膚科医長 並里 まさ子
はじめにハンセン病の歴史について説明があった。
1873年にノルウェーのハンセン氏が病原菌を発見、治療法をみつける糸口となる。(現在も未だ病原菌の人口培養には成功していない)
1981年 複合化学療法(MDT方式)が確立。
1996年4月 日本においてらい予防法廃止法施行。
笹川記念保健協力財団は1974年、世界からハンセン病を根絶するという目標を掲げ設立された。1974年からWHOに対し資金供与を行うなどMDT方式の普及と促進に努めている。
この他、ハンセン病について基礎から治療までの医学的なお話があり、これまで知らなかった内容を詳しく知ることができた。
3. 多磨全生園・ハンセン病資料館見学
国立療養所多磨全生園は、旧らい予防法に基づき1909年開設、らい予防法闘争を始め全国国立ハンセン病療養所患者協議会の中央活動の基地支部として活動を継続している。
多磨全生園の見学では、かつて、らい予防法に対する抵抗運動が盛んだったことを一瞬忘れてしまいそうな平穏な雰囲気だった。しかし、高齢になられた患者さんたちの今なお続いている苦しみを考えると問題は過去の問題ではなく現在の問題だと思う。