4) 自然についての民俗知識
(1) 民俗知識からみた狭山丘陵の自然
1]動植物
動植物においては前述のように多くの種が識別されており、固有の呼び名(方言名)が伝承されている。各地域の植物方言および動物方言(資料編の表III-資-12および表III-資-13参照)には、共通するものが多くみられるものの、ある地域特有のものも少なくない(表I-2-8)。また、方言名の内容からその種の生態的な特質に関する手がかりを得られる場合もあり、分布や伝播の状況と併せて貴重な資料となっている。
一般的な傾向として、方言名の内容はその生物の習性や特徴を端的に表現しているものが多く、とくに遊びから派生したと考えられる方言名に顕著である。また、同一種に対して複数の方言名が伝承されているのもめずらしいことではない。こうした特性はその生物が人びとの暮らしにかかわってきた度合いや利用範囲等を推し量るうえで重要な資料となる。