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図I-2-4は、このような主要作物の農事暦と産物利用の事例を示したもので、当該地域におけるほぼ標準的な畑作のシステムといえる。堆肥づくりにおいては、養蚕-麦つくて-麦作の系統とヤマ-クズつくて-さつま芋作の系統が明確に使い分けられており、さらにクズつくてではさつま芋作に使用する未完熟堆肥(半ぐされ)と秋以降の完熟堆肥の使い分けも行われてきた。このように、里山の畑作は堆肥づくりを介した農事暦によって支えられていたのである。

 

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注)

1]:蚕のフンや桑の残りかす

2]:木灰(薪を燃やした灰)+米ぬか

3]:下肥等

4]:わら灰+米ぬか

図I-2-4 狭山丘陵における農事暦の一事例

 

2]土壌と栽培作物

畑作と自然環境のかかわりで象徴的なのは、その地域の土壌と栽培作物の関係であろう。これについて各地の聞きとり調査の伝承を整理したのが表I-2-2である。それによると土壌の種類としてマツチ系(粘土質)とクロボク系(黒土)があり、これらの中間型も含めてそれぞれに適した作物の栽培と施肥方法が考案され、実践されていたものと推測できる。

 

 

 

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