b. 動物相
各分類群別の目録(底生動物を除く)を資料編の表III-資-3〜8に示す。以下、狭山丘陵の動物相の概要について述べる。
a) 哺乳類
哺乳類は、全域で5目9科14種の記録がある。モグラ目ではトガリネズミ科のジネズミとモグラ科のヒミズが東京都水道局管理用地〔14〕で記録されているほか、コウモリ目ヒナコウモリ科のヤマコウモリがさいたま緑の森博物館〔13〕で記録されている。
また近年、外国からの移入種とされるジャコウネコ科ハクビシンの確認事例が増えており、1998年には野山北・六道山公園〔1〕でキタリスの生息が確認されるなど狭山丘陵の哺乳動物相に大きな変化が表れている。
b) 鳥類
鳥類は全域で15目38科130種が記録されているが、これは1995年にまとめられた「狭山丘陵産鳥類目録」(『狭山丘陵いきものふれあいの里自然環境調査報告書』、埼玉県)に記載された206種の約63%に相当する。
狭山丘陵における鳥類の特徴としては、夏期の繁殖鳥および冬期の越冬鳥に加えて春と秋の渡り鳥の通過などにより、首都近郊では類をみない多様な鳥相を維持している点である。台地上の独立丘陵を覆う樹林帯と二つの貯水池によってもたらされた広い開放水域が、陸生鳥類だけでなくカモの仲間を中心とした水鳥類の生息に適した環境を創出していることがその要因と考えられる。
また、丘陵の森はオオタカを始めとするさまざまな鳥類の繁殖の場として重要であり、例年9月から10月に最盛期を迎えるタカ類の秋の渡りでも中継基地(休息場所)としての重要な役割を果たしている。