c) 爬虫類
爬虫類は、全域で2目5科11種の記録がある。カメ目では在来種であるイシガメ科のクサガメが菩提樹池周辺地域〔10〕と東京都水道局管理用地の2ヵ所で確認あるいは記録されたほか、外国からの移入種であるアカミミガメも2ヵ所で記録されている。
d) 両生類
両生類の記録は、全域で2目6科10種である。このうちトウキョウサンショウウオは5ヵ所の地域で、またイモリは2ヵ所の地域で確認あるいは記録されている。
これらの種は、カエル類も含めて丘陵の谷戸(湿地や水田等)を重要な生息域または繁殖場所としているだけに、谷戸の植生管理や水の管理にみられるように生業を介して人びとの暮らしと深いかかわりをもつ動物群である。
e) 魚類
魚類は、全域で5目9科24種が記録されている。そのほとんどが村山貯水池および山口貯水池とそこに流入する水系〔14〕における記録であるが、さいたま緑の森博物館の記録も含めて生息分布の点で問題が指摘されている種(移入種)や在来種であっても人為的な放流の可能性が疑われる種等、今後整理しなければならない課題がのこされている。
f) 昆虫類
昆虫類は、既存資料でも特定の分類群(目レベル)に調査が集中したり、反対に全く調査されていないグループがあるなど、これまで狭山丘陵全域の昆虫相についてはその全容が把握されていないのが実状である。今回は東京都水道局管理用地における調査結果を中心に整理を行い、16目254科1,570種の記録が得られた。これを科別の種数で示したのが表I-1-23である。
g) 底生動物
底生動物の記録は、野山北・六道山公園、さいたま緑の森博物館、東京都水道局管理用地の3ヵ所だけであり、このうち昆虫類を除いて扁形動物(ウズムシ綱)、
袋形動物(ハリガネムシ綱)、軟体動物(マキガイ綱)、環形動物(ミミズ綱およびヒル綱)、節足動物(甲殻綱)が記録されている。ただし、種の同定がなされたものは少ない。