日本財団 図書館


(3) 厳しい財政状況

横浜市の人口の増加を見ると、昭和45年と平成9年を比較すると、220万人から330万人と110万人増加しており、小学校数では175校から347校と2倍となっている。急激な人口の増加は、例えば、下水道事業等のいわゆる都市基盤整備事業への膨大な投資を促し、下水道事業会計を賄う企業債には昭和55年から平成9年の18年間で累計1兆6,300億円を費やしている。

このような人口の急増に対応するための過去の公債発行もあり、現在の市債残高を見ると10年度には2兆1,500億円に昇っている。

将来の起債制限比率が20%超えることを回避するため、8年度からは市債発行の抑制に努め、前年度12%減の目標を掲げ、市債残高の抑える方向で財政運営を行っている。しかしながら、最近の起債制限比率は、7年度12.5%、8年度13.4%、9年度14.0%、そして10年度は14.4%と上昇傾向にあり、また市債残高についても7年度1兆8,000億円、8年度及び9年度は2兆円、そして10年度には2兆1,500億円に達している。

横浜市の状況は、歳入の半分を占める市税収入の伸びか期待できず、引き続き市債の抑制を行い、財政調整基金等の臨時財源もなく、今後増大する福祉施策への財源確保が迫られる中で、極めて厳しい状況にある。

 

3 税源の充実に向けて

 

(1) 活力ある福祉社会の実現

少子・高齢化が進む中でいかに福祉コストを生み出すのか。

横浜市では「活力ある福祉社会の実現」という政策を掲げている。具体的には、福祉政策を三つの視点でとらえ、まずは生活保護などのセーフティーネット、次に高齢者・障害者の介護を含む社会的連帯の中での自立を支援するという政策、さらに、いわゆる職住近接や雇用の創出など福祉コストを支える地域経済の活性化を広義の福祉政策とし位置づけている。

言い換えれば、企業誘致を促進し業務核都市として業務機能を集中させることにより雇用の拡大を通して所得課税の増収や、固定資産税税収の一定の確保を進め、福祉施策を支えるコストを地域から生み出す自立都市の実現を目指すものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION