4 「活力ある福祉社会に向けて」
−横浜市の財政状況と税源の充実−
横浜市財政局主税部長
小倉 輝亮
平成12年2月
1 望まれる市政の姿
横浜市で行っている平成10年度の市民意識調査によれば、「生活の心配ごとは何か」の問に対し「自分の病気や老後のこと」との回答が1位で、22.1%を占めている。また、「市政への要望は何か」の問に対し「高齢者の福祉政策」との回答が最も多く、36.8%を占めた。
特に、高齢者の福祉政策を望む声は平成元年度以降、常に1位の要望であり、高齢化社会における福祉政策の充実が求められている。
2 横浜市の財政状況
(1) 財政状況の推移
横浜市のここ10年間の財政状況を見てみると、歳入全体では、元年度に1兆円であったものが10年度は1兆5、000億円と1.5倍となっている。
市税収入は、元年度に5,800億円であったものが、10年度では7,200億円と1.25倍に、歳入全体の伸びより低いものにとどまり、税収額では平成4年度以降は、ほぼ7,000億円強で横這い状態が続いている。
反面、市債は元年度1000億円弱であったものが10年度では1,900億円を超え2.0倍に、また、歳入に占める割合は元年度では9.4%であったものが10年度には12.9%に上昇している。さらに、市債残高は10年度には2兆1,500億円と、元年度の8000億円に対し2.6倍に達している。
次に歳出では、元年度において土木費が4,000億円と全体の4割を占めていたが、10年度には4,300億円、全体の3割にとどまり1割も低下している。これに対し、衛生費は850億円から1,500億円と1.7倍、また民生費は1,200億円から2,500億円と2.0倍の伸びを示し、土木費といったハード関係から福祉関係へとシフトしている。
また、歳出のうち伸びが顕著なのが公債費で、元年度には800億円であったものが10年度には2,000億円と実に2.5倍となっている。
(2) 市税収入の状況
市税収入の状況は平成4年度以降は7, 000億円で横這い状態にあるが、これは、平成6年度の特別減税では500億円程度の減収となり、平成7年度以降行われた制度減税により350億円、さらに11年度の恒久的減税では340億円の減収、また法人税の2回にわたる税率の引き下げに伴う影響で50億円、全体で740億円が市税収入の基礎部分から減額され、市財政を支える市税収入の確保は厳しい状況にある。