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自治体の職員に要求される資質は今よりは大きく変わる。まとめると、次のようになる。第1に要請されるのは、企画力や計画策定能力である。当該自治体の10年後をビジョンを描けるともに、住民のニーズを把握できる能力が要請される。この意味では純粋にサービス業に徹する覚悟が必要である。

第2は、介護のサービスの質を見分ける能力を持つことである。介護保険の保険者として質を見分ける目を持つことが最低で、お必要になる。そのためには、自分が要介護状態にある高齢者になったつもりで現場を見る。自分はここで暮らしたいか、という問題意識を持って現場にでなければ、評価する目は養われない。

第3は、他の分野や人材とのネットワークを持つことである。これからの自治体は地域福祉を遂行する上でも、優秀なNPO(非営利団体)をどれだけ自分の町に呼ぶことができるかが鍵となる。そのためには、優秀な民間非営利団体(NPO)とネットワークを持つことが必要である。他の自治体や地域の情報は多くのヒントとなるのに、案外自治体間の情報交換が少ない。もっと相互に職員を派遣しあってもよいだろう。また優秀な営利団体とのネットワークも重要である。

第4に、介護保険が適用されるサービスだけで地域福祉がみたされるわけでない。介護保険が適用されない有償ボランテイアの活動や民間会社のサービス内容も把握しておかないと、住民への充分な情報提供ができない。住民は介護保険だけではなく、周辺サービスにたいする情報も欲しがっているのである。

第5に、情報公開と最も人間にとって不満の起こりがちな人的サービスの供給という点で苦情や批判が多くなると思われる。人間にとってむずかしいことはわかるが、苦情や批判にさらされることに慣れることが必要である。

第6に、困難に直面してもどうすればできるかを考える人材が必要だ。地域福祉の先進地域はよきリーダーや人材に恵まれて、困難を切り開いてきた人達だ。住民ともNPOともよきパートナーシップを役所が作ることが重要である。

第6に、健康寿命を長持ちさせることにもっとも関心と注意を払い、たとえば、地域に頻繁に出掛け、健康教室も開く。

第7に、自治体間あるいは自治体と都道府県、国あるいは企業や福祉施設、大學との人事交流を活発にする必要がある。自治体はほかの自治体についてあまりにもしらなすぎる。そして横並び意識が強く絶えず意識するのは同程度の人口規模の自治体である。これでは視野が狭くなる。

 

 

 

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