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今後は、介護サービス事業者に住民団体がなることもある。また介護サービスでは、住民の苦情や意見を反映しながら、「計画」のみなおしや現実の介護サービスが守られているかを事後的に監視することが必要になる。生活の質という簡単には数値化できにくいという難点があるものの身近で親を介護したものについては親の道はやがて自分の行く道になる。そのため介護の分野はほかの行政サービスの領域よりははるかに住民参加が容易である。こうみると、新しい行政運営の手法が日本で根づくかどうかは、介護保険を成功させることにかかっているといえよう。

 

3. 自治体および職員に要求される資質等

1)自治体に要請されるものは、介護保険の赤字を一般会計からの補填で埋めないことである。あくまでも保険料とサービスの対応関係を明確にする努力をすることである。

2)高齢者介護はソフトによるといっても過言ではない。とくに都市部の自治体は、施設開設のための資金に悩んでいる所が多いけれども空き教室の転用はもちろんのこと、古い民家を利用してのグループホームの開設に力を注ぐことが求められる。大規模施設ではなく家族的な雰囲気で自分の思うような介護がしたいという人は少なくないと思われる。グループホームでは古い民家を利用し多くのボランティアにも支えられながら家族的な雰囲気で介護サービスを提供している所が少なくない。これらは行政の箱もの志向を転換させるひとつの誘引になろう。

3)もっとも今の自治体の計画に欠けている視点は「リハビリテーション」の視点である。病院から施設や在宅に高齢者が移行するときにもリハビリが重要なことはいうまでもないが、「リハビリテーション」について見とおしをたてかつ拠点を整備するなどができている自治体はほとんどない。

4)介護保険の導入にあたっては目的を同じくする敬老祝い金などの現金給付は廃止して介護基盤の整備に当てることが重要である。

5)相談窓口を明確にする。

6)自治体職員に要求される資質

従来の公務員のイメージであった、決められたルーチンワークを手堅くこなし、新しいことにはあまり踏み込まない、というのでは、新しい時代に即応できない。

 

 

 

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