イ 多額の借入金残高
地方税収の落ち込みや減税による減収を補填するとともに、数次の景気対策のために地方債を増発したこと等により近年借入金が急増し、地方財政は2000(平成12)年度末で187兆円の多額の借入金を抱える見込みとなっている。
ウ 個別団体の財政事情の硬直化
個別の地方団体の財政事情は、1997(平成9)年度で黄信号とされる公債費負担比率15%以上の団体が全体の約6割(56.5%)であるなど硬直化が懸念される状況にある。
4]少子・高齢社会に対応する地方税制の検討に当たっての留意点
前記のように、少子・高齢化の進展は、現役世代の割合が減少することにより納税者の減少ひいては地方税収の減少をもたらすことになる。しかしながら、一方で地方団体が提供する福祉サービスの量は着実に増えていくことから、このサービス供給を支えるという観点からも、強く、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系の構築が求められる。
その検討に当たっての留意点として指摘されていることをあげれば、以下のとおりである。
ア 1993(平成5)年の政府税調の中期答申では、21世紀の高齢社会にふさわしい税制改革の基本理念を打ち出している。
その内容は1]社会の構成員が広く負担を分かち合うこと。2]中堅所得者の税負担の累増感の緩和を図り、中立の原則に適合した税制を目指す。3]所得・消費・資産に対する課税のバランスがとれた税制を目指す。である。
もちろん、その後の税制改革で、消費税の導入や個人所得課税の減税等が行われていることから全てが現在に当てはまるわけではないことに留意を要する。