5.2. その他の艤装品;
a)調査研究の小史;
艤装品の寿命(耐用年数、信頼性)については古くから造船学会を中心に調査されて来た。その一例を挙げると、
・P41「メンテナンスフリーと船装設計」JSDS-24
・P42「信頼性工学と船装設計」
・P47「艤装品の強度」
等である。また、その実態についての調査もSRのプロジェクトとして
・SR85「現装機器の信頼性に関する調査研究」
・SR146「配管材料腐食に関する調査研究」
・S&O 財団補助事業「自動化船機器の信頼性調査」
等である。これ等の調査研究は当時の状況からは最大限の努力にも拘らず、その後発展した信頼性工学の立場からは、取扱いが部分的であったり、評価検討に必要な係数、データが不十分であったりして、活用が十分なされていないとの反省から、造船設計委員会で、これ等を基礎としてP.77「艤装品の寿命」で纏められた。
b)P.77「艤装品の寿命」;
このプロジェクトは住重も実際作業を分担しているので、皆さんよく承知しておられる筈で、要旨だけ述べておく。
イ)対象;
このプロジェクトでは、船体艤装品のうち、管艤装品を除いて主として暴露部に設置される艤装品の中から下記の12装置を対象にされている。
・鋼製ハッチカバー ・小型ハッチカバー ・鋼製扉
・舷梯 ・揚錨機/係船機 ・係船金物(ローラフェアリーダー)
・舵取機/舵頭軸受 ・デリック装置(滑車、ウインチ)
・救命装置(ボートダビット) ・糧食庫用冷凍機 ・空調用冷凍機
・通風装置(ファン、ダンパー)
ロ)故障の原因;
故障の原因として下記の3種類の要因に大別された。
・自然衰耗;艤装品を使用する事により、衰耗して故障に至ったもの。
・設計不良;強度不足や構造上メンテナンスが円滑に行われず故障したもの。
・艤装品の腐食が直接の原因で故障したもの。
これ等の調査だけでも多くの事を示唆している。
(1)原因種別故障頻度の割合;156件の故障の原因を表1.に示す。