第I部 海難の実態認識
日本周辺の海難の実態の極く概要を海上保安庁の資料によって認識することにする。
1. 海難の年次推移;
平成3年度から平成9年度の7年間の推移を考察する。
1.1. 用途別要救助船の推移;
台風及び異常気象によるものは、年次変動が大きいので、これ等を除いたものを表1に示した。
これよりわかることは、
a)漁船とプレジャー・ボートが多く、この合計が71〜76%を占めている。
b)平成3年度はプレジャー・ボートが30%であったが、年を追ってその比率が増え、平成9年度は漁船を超えて40%以上になっている。
c)他の用途の船の比率の変動は少なく、旅客船は1〜2%、貨物船は11〜12%、タンカーは3〜4%、その他の船舶は8〜10%となっている。
1.2. 海難の種類の推移;
海難の種類別の推移を表2に示した。
a)最も多いのは衝突、乗り揚げで、この2種類の合計比率は全体の40%を超えている。
b)次いで、機関故障、転覆、推進器故障、火災、浸水の順となっている。