日本財団 図書館


11. プロペラ起振力のメカニズム

 

11.1 不均一流内を回転するプロペラ翼

 

水には粘性があるため、船が走ると外板に極めて近い水の部分は船に引きずられて船と同じ方向に進む。

この、船に引きずられ、船を追いかける水の流れを伴流(wake)と云う。

この伴流は船尾で最も大きく、特に1軸船ではプロペラ近傍の船尾材上端部で最大となり、下方及び舷側方向に行くにつれて小さくなる。

 

今、船の速度をVS、伴流をVW、プロペラの対水速度をVAとすれば、

 

VA=VS-VW

又、伴流係数w=VW/VSs  とすれば

 

VA=(1-w)VS

 

船尾プロペラ位置の伴流分布例

(1軸船)

016-1.gif

 

右上図に1軸漁船の伴流(係数)分布の例を示す。これから、プロペラに入る流速はプロペラ上部では船速の20%程度、軸心位置の両舷では100%、船体中心線下部で40%程度まで落ちることが判る。

 

即ちプロペラの翼1枚は流入速度の異なる不均一流の中を1回転することになる。

 

プロペラヘの流入速度が変化すれば右図の様に入射角(流入角)が変化するから、当然翼により発生する揚力(推力)も変化する。

 

即ちプロペラの各翼は1回転中に不均一流内をよぎるため揚力(推力)の変動を生じる。

 

流速と入射角

016-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION