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また、例えば船型設計。数値水槽として始まったCFD:Computerized Fluid Dynamicsは、すでに性能選択のための比較には使える…との学会報告があり、従来は現図段階だった精密なフェアリングは、水槽実験モデルの多軸NC切削のプリプロセスとなってきている。いずれも船型数値化が基礎である。

計画線図と生産線図に精度差やタイミング差はあるとしても、やがては同一システムの連続作業となるであろう。

 

さて、将来の展望は総合化にあるとして、まずは数値現図の徹底である。現尺現図の範囲が僅かでも残っていれば、その撤廃である。

現図程度で、人手でしかできない所がある…など、コンピュータ化に不信を抱かせる事実はない。

 

なお、本書ではNC切断システムに詳しく立ち入っているが、数値現図の延長として、ここで説明するのが便利だったからである。

別冊『原寸型・定規』に紹介しているように、数値現図では、型作画/一品寸法図/マーキン寸法表など経営の実情に応じた出力が選べる。高額設備投資の必要なNC切断は、出力の一形態にすぎない。

 

7.3.3 人とシステム

これから造船現図を学ぶ人に伝えておきたいことがある。システムがまだまだ過渡期にあることである。

日本造船業の従業員は総じて高齢化しているが、造船設計業にCADのオペレータとして若人が増えてきているとの調査がある。

数値現図の作業者も、就業形態からはCADオペレーターである。

このCADオペレーターの将来を、どう見るか。

 

思い出してもらいたい。

コンピュータ化の初期、キーパンチャーと呼ぶ職能があった。英数字タイプライターを叩いて入力カードに穿孔する仕事である。職業生命は10年続いたであろうか。

また、ワープロ・オペレーターという職能が、ワープロの普及に伴って生まれ、今も残ってはいる。手書き原稿や切張り編集文書を清書する仕事であるが、この仕事、いつまで需要が続くであろうか。

コンピュータは更に増え、ワープロも一般常識になってきた。だのに時代の先端だった職業が無くなる。磨いた職能を持って行く場所がない。残酷な話である。

 

 

 

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