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また、かつての自動設計を志向した船殻一貫システム"IHI-CS"の運用では、船殻基本図(キープラン)からのデータ受渡しはなく、またバッチ処理の制約から、まず標準設計手順で大型コンピュータを回し、落ちてきた部品データを製図基準に従って編集して、船殻詳細図(ヤードプラン)を作画出力していた。構造区画区分毎のパラメトリック・マクロがプログラムされていた…と理解してよい。

当時、構造設計パターンの確立していた巨大タンカー:VLCC/ULCC の設計建造には、このチンジャラ方式は、威力を発揮したものの、構造様式の異なる船種には、それぞれにシステムの事前組み替えが必要だった。

 

本書の事例とした現図システム"あじさいPC"では、[図5.2.8 数値現図システムフロー]で見たように、[セクションファイル]に上流CADデータを受け入れる構成となっている。

いずれにしても船殻CAD/CAMを成立たせるには、「設計」が、図示する以外の構造形状も作り出しておかねばならない。

 

7.3.2 現図システム概念の成熟

「はじめに」の章で現状までの発展について触れたように、いま造船のシステムは急速に総合化へ向かっている。

NCシステムを使い込むうちに、在来区分:設計/現図/マーキン/切断/仕分け…の各部分の最適化が、造船所全体の最適化に必ずしも結び付かない…と体験的にも判ってきたことであるが、特にCIM:コンピュータ統合生産の概念の浸透が大きい。

本書の説明で、よく"モデル"の言葉を使ってきたが、この用語の造船での普及の端緒は、CIMの検討において、統合システムの中核がPM:Product Modelとされたことによる。

CIMでは、造船設計の目的が、このPM:建造船のモデル…をコンピュータの中に構築することに絞り込まれた。設計図面は、そのモデルからの目的別出力形態の一つ…とされたのである。

ここにきて、前項で説明したCAD/CAMが明確になった。

 

もっとも、概念が確立したからといって、すぐさま事態が変わるものではない。地滑りのように少しづつ基盤がずれ、流動してゆく。

 

例えば、数値現図化のはじめから予想されたように、組織的にも作業形態においても現図機能と設計機能を分ける根拠は失われて久しいが、広く眺めてみれば、この融合は最近やっと加速されてきたようである。

別件で訪ねた造船所で、設計側から質問「NCグループは、これまで(10年ほど)ずっと現場所属できましたが、やはり設計に移した方が、いいものでしょうか」を受けた。ここにきて疑問が高まったのである。

 

 

 

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