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現図の結果であるファイルデータの保存は、フロッピーディスクのような電子媒体であればよく、簡単で場所も取らない。

また、作画現図以上に再利用の範囲が広いので、念のためバックアップは保管場所を変えて取っておく。もし使用システムを変えるときには、これは時代の変遷に伴って避けられないことだが、過去に遡って、データ呼出しの互換性につき検討して準備しておく必要がある。

 

7.3 現図の将来

永い造船技術の歴史で、現図床に原寸図を描く方法の期間は、今後も含めて、どれほどなのだろうか。

それに比べるとコンピュータ応用数値化の時間は、まだまだ短い。だが、現図を伝統的に、単に図学応用で部品形状を作り出し伝達する機能とすれば、これまで解説してきたように、ほぼ充足し完成されたとしてよいであろう。

パソコンの発展により、厳密さ/実用性/コストなど…あらゆる面で、作画現図を遥かに越えた。

これからは、先に「数値現図=自動化の基礎」として紹介したように、現図の機能が拡大し、周辺のシステムの中に溶解してゆくことになろう。

 

7.3.1 船殻設計図と現図一品

船殻横断面図のフロア作画データは、フロア一品の作画に使えるはず。

この発想が、CAD/CAMの概念であるが、システムは成立っても、その通りに運用されている実例は少ない。なぜか。

外板展開図の製図表現は特殊としても、案外に図面表現と部品実形は一致しない。

例えば:−

*Fc.PLの板厚は、図面では実寸縮尺では重なって、2本線表現にならない。

*板厚断面も外形線や寸法線と区別できる太線にするだけ。

*ロンジフレームの図面は、正規のトランススペースを押えて、それらしく描くから、取合いのT.BKT、端部BKTとも架空の形状となる。

*シヤ・キャンバーのあるDKも平面投影の形状が描かれる。

…要するに図面は、構造仕様を決め、三面図としての配置で要領を示すのが目的だからである。

 

このような事情から、現在の船殻設計支援パソコンCAD"イージ SHIP HULL"では、正・正面/平面/側面部材:図面形状=現図形状…に限ってではあるが、製図データに、取合い板厚など不足データを加え、部品として切り出して、NC切断に落とすようにしている。

全般的な数値現図システムではないが、横肋骨構造の小型船でなら主要内構:横置ウェブ/フロア/平行ガーダー/同BKT類…をカバーできる。

 

 

 

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