日本財団 図書館


4. 曲りフレームシステム

 

このシステムでの「曲りフレーム」とは、曲り外板の肋骨で、船の完成状態で曲線形状をなす部材をいう。部材の自重や軽度の取付荷重で撓んで外板になじむ、いわゆる「自然曲り」を含むから、必ずしも曲加工がシステムの要件ではない。

またフレームは断面一定の条材:山形・バルブプレート・FB・ビルトアップ材を対象とし、板から曲り形状に切り出されるFB・ビルトアップのフレーム部品は、次章の内構システム扱いとなる。

 

ここで「自然曲り」の用語に触れたので、ついでにフレームに限らず自然曲り全般をまとめておこう。

前章の曲り外板にも、曲り形状のウェブに取り付けるフェィスプレート:Fc.PLにも自然曲りの範囲がある。その判定が明確化できれば、システムに条件として組込んで、数値現図の有効度を高められるのだが、まだ、その実用例を聞いていない。

外板については、自重による撓みで数式化された研究が発表されているが、その後の進展はないようである。

Fc.PLについては、かつて単純梁理論で通常人力+金梃子の負荷を推定して、撓み量で判定する内規にしていたことがあるが、現状はどうであろうか。これもダラダラ曲りなら近似できるが、曲率変化の大きい曲りには当てはまらない。

この判定につき、いくつかの造船所で実情を尋ねたが、ほとんど恣意に任されているようである。地味な話だが、これからの造船技術のテーマの一つであろう。

 

さて、曲りフレーム以外について断っておくが、単なる折れ:KL加工フレームは本システム外で、その他の直線または直線と見做せるフレーム:例えばパラボラシャのDKロンジなどは、設計寸法そのものから一品寸法が求まるし、また、ラウンドキャンバーのDKトランスビームは、曲加工するにしても船毎の共通曲げ型が使えて、厳密な部材長を求めるにしても近似円弧で計算できるから、数値現図の扱いは不要としている。

 

このような事情で、以降の説明簡略化のため、次のように短縮語を使う。

*曲りロンジフレーム→ロンジ

*曲りトランスフレーム→トランスフレーム

*ロンジ+トランスフレーム→フレーム

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION