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治具高さは、このように定めた定盤からの外板面までの垂直寸法であり、Nを使って船体座標系の外板データを変換すれば、定盤座標系(X,Y,Z)での治具位置高さが求まる。

 

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図3.4.1 外板組立用冶具の座標系

 

これに類似した具体的な治具平面を決める方法として、事例としている SHELLシステムでは、外板ブロックの代表点:図の1]〜9]の各点の高さが平均化するように、9点の最小自乗法で治具平面を決めている。

一般的には、上記で落ち着くのであるが、特例として、[図3.4.2 平板部基準定盤設定]に示すように、船底/船側外板ブロックだけでなく、ブロック平板部分:図の1]2]3]点で決まる平面を基準に定盤を設定する方がよい場面も生じる。そこでシステム的には、定盤平面のインプット指定を可能にしている。

 

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図3.4.2 平板部基準定盤設定

 

インプット指定に関連して、ここで少し横道に逸れ、「入力選択」一般につき触れておこう。

コンピュータ処理は、自動化にすればするほどシステム内容が複雑になる。

例えば上記の場合で、インプット指定を省きプログラムで自動的に選択されるようにするには、外板ブロックが平板部を含む…の条件だけでは指定の基準に足りない。平板部の全体に対する面積比率、平面が板1枚に収まるか、直線シーム自動溶接が適用できる長さは…といった綿密な判定の標準化が伴う。しかも完璧な検討は期しがたい。もし予想検討外の事象が突発したら、急遽「リラン」:再入力/再処理を余儀なくされる。

システムが複雑になっても、処理効率は高まってゆくが、時と所により変化する条件の組込みなので、メインテナンスは継続した仕事になる。実績フィードバックにより追加/削除が行われて、システムの「リファイン」:洗練が進むのである。

このようなシステムを、よく"堅い"と形容することがある。

 

 

 

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