ここでベクトルABは、座標系0XY/0xyいずれ上でも同じであるから、1]=2]
つまり図形をベクトルで表現すると、座標系のとり方に関係なく図形計算ができ、座標変換に便利なことが窺えよう。
また、この図を眺めて、別冊『現図展開』で説明した「実長の求め方」を思い出してほしい。[実長=ベクトル量=斜辺]で、[その座標系への投影=フレーム・スペース/落ち=直角を挟む2辺]と読めよう。この夫々の長さの間には、ピタゴラスの「三平方の定理」が成り立つ。作画による手法であれ、数値計算法であれ、取り扱い手段が変わるだけで、図形を捉える原理は共通である。
さて、作画ラインズでは、主船体部を表す線として、St.L、W.L、B.Lの3種の他に、平面と曲面の境界のみ、曲加工の判定とフェアリング作業の準拠線として、フラットエンドライン: Flat End Lineとか、タンジェンシーライン: Tangency Lineと称して顕在化されていた。
そして、船型曲面を表す線の中には、撓いバッテンで回すときも、バッテン1本で抑えては回せず、通過点の「ふれ」具合を眺め、曲線の「くせ」を読んで、[図2.1.10 バッテンの繋ぎ]に示す要領のように、バッテンの当て方を変え、繋ぎながら回してゆく曲線があるが、こちらの境界の方は、作業者の暗黙裏の経験として潜在されてきたに過ぎなかった。つまり、バッテンを繋いで描く一本の曲線では、連続して見えてはいても、単一の曲線でなく、接続を持つ複合した曲線なのである。
そこで、顕在/潜在を問わず、面や線の境界とはなにか…を考えてみよう。
[図2.1.11 面の境界と線の接続の変化]は、その事例として、尾側船底平面の立上がり境界: Bottom Tangencyを示している。
その境界線: タンジェンシーラインを跨ぐ横断面線: St.L、又はフレームライン: Fr.Lを矩形枠内に示すと、タンジェンシーライン位置のT,C,K,R点断面では、
T: 中央切断面では船底直線とビルジ円弧の接線: TANGENTで、そこから船尾に向かってC点までは、この傾向が続き、バッテンを船底面に接する点線のように船体内に曲げ込んで回すが、これがC点に来ると、この曲がり込みがなくなる。