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もっとも、これらの数式の内容を知らなければ、フェアリング・システムがうまく使えない…ということはない。知らないですむので、これ以上は立ち入らない。関心があれば、自由曲面の一般技術書に詳しい。いずれにしても、撓いバッテンの種類として、材質に木/プラスチック、断面に正方形/矩形の厚物/薄物そしてテーパーの先細、使い方に1本使い/2枚重ね…があるように、数値バッテンにも各種あるだけのことである。

大事なのは、「数値」であれ「撓い」であれ、バッテンの捌き方にあり、まず補間式概念が理解されておればよい。以下に、それを説明する。

 

2.1.3 曲線の接続あるいは連続性

さて、曲線図形を数式で表現するには、単なる数値だけでなく、方向を持った量である「ベクトル」を併用すると、簡潔になる。なぜなら曲線上の点の位置は座標値で、曲率半径は量で表せるが、その点の法線や接線を取り扱うには、座標値量では不便で、方向だと便利になるからである。このため点のデータとして、主たる座標値に、属性としての曲率半径と「単位ベクトル」とを付加するのがよい。

ベクトルについては、詳しくは一般の数学書によるとして、ここでは説明の理解に必要な概念のみ、簡単に[図2.1.9 ベクトル]で紹介しておこう。

図の太い実線、正しくは「有向線分(向きを持つ長さのある直線)」で表したものがベクトルである。Aを「始点」といい、Bは「終点」と呼ぶ。AからBに向かうのが「ベクトルの方向」で、その距離長さが「ベクトルの量」である。このベクトル量は、力学で使うときは力の大きさを表す。上記の線の属性とする単位ベクトルとは、[ベクトル量=1:単位量]のベクトルで、数値現図システムでは方向を付与するデータとして用いている。

 

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図2.1.9 ベクトル

 

数値計算は、始点と終点の座標値の「行列演算」で行われるが、図に実線/点線で示す2座標系で見るように、ベクトルそのものは座標系によって変わらない。

すなわち: −

座標系0XYで、始点A[XA,YA,ZA]、終点B[XB,YB,ZB]のとき、

ベクトルAB=[XB-XA,YB-YA,ZB-ZA]……1]

同様に座標系Oxyで、点A[xA,yA,zA]、点B[xB,yB,zB]なら、

ベクトルAB=[xB-xA,yB-yA,zB-zA]……2]

 

 

 

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