さきに見たように、数式計算では曲線上のどの点にも曲率半径が決まる。その「曲率半径」の載る直線を「法線」と呼び、その法線と曲線上で直交する直線を、その点での「接線」とするのである。
2.1.2 数値バッテンの種類
指定点を通過する撓いバッテン曲線形状を、梁の弾性変形としての材料力学的数式表現で求めることが、手作業をそのままコンピュータ上で再現するという意味では、最も理にかなうのであるが、この一般解を求めることは大変に難しい。さらに梁断面が先細になるテーパーバッテンなど撓み方が変わるものは、もっと面倒であり、その使い分けから問題になる。
ならば、コンピュータを使う以上、特にバッテンでの曲線に限ることもないのではないか。もともと、これまでの作画フェアリングで、曲線が「梁の弾性変形」で支配されていることなど意識されてはいないかったのである。
そこでバッテン代用として、指定点を通過するスプライン曲線: いわゆる「補間式」を使用する考えとなった。それが、数値バッテンである。
例えば、単に点列を補間するだけであれば、最も単純なのは: n=点列の数として、
Y=a0+a1X+a2X2+a3X3+……+an-1Xn-1
の形の多項式だが、[図2.1.8 多項式近似]に示すように、一様な撓いバッテン曲線に対しては、ムリな点も通るが、その中間で変な膨れが生じるなど、数値バッテンとしては適さない。
そこで数値バッテンに使える補間式が種々提案され、研究されてきた。しかし、この数学的な曲線には、バッテンの持つ堅さ・しなやかさ等は入り込まないから、完全には撓いバッテンを模擬することはできない。
それはそれで、実用上は今のところ支障がないとされている。
むしろ現代のコンピュータ技術は、船型設計をバッテンとは限らないスプライン曲線に依ろうとしている…と言えなくもない。