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この曲線は船首ボックス線の例で、同じような曲線に見えても曲率表示の山谷に注目すると、かなり違うのが分る。当然、不自然な曲率変化があれば、そこを是正してゆく。

 

この「曲率」を[図2.1.6 曲率]で説明しておこう。

曲線上の一点bを取り、さらにすぐ近く前後に点aとcを取る。すると、点abcを通る円を作ることができる。この円の半径がrだったとしよう。そこでaをbに、cをbに近づけて行くと、この円の半径は少しずつ変化して、3点a、b、cが一致したときの円はこの曲線のb点で内側から接した円になっている。これを、点bでの「内接円」と呼び、rを「曲率半径」と呼ぶ。そのrの逆数: 1/rが「曲率」である。

 

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図2.1.6 曲率

 

円弧の曲率は半径の逆数で、同一円弧上では一定値。半径が大きくなるほど、曲率は小さくなる。直線のrは無限大と置けるから、直線の曲率は0である。したがって曲率変化の無い線は円弧と直線だけであり、それ以外の線の曲率は、線の曲りの変化に伴って変化する。そして曲率は、微細な変化でも曲率半径の変化として増幅するから、上述の画面例で見たように、曲り変化のセンサーの役を果たすことができる。

この曲率は作画では、概略の見当は付けれるものの、正確には求まらない。数式計算では微分解として精密に求められるから、数値フェアリングの利点と言えようか。

 

曲率定義のついでに、以下の説明で使う用語として、スプライン曲線の法線と接線につき定義しておこう。[図2.1.7 法線と接線]参照。

 

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図2.1.7 法線と接線

 

 

 

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