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図1.2.1 数値現図システム構成

 

このシステム構成の用語と意味とを順序に沿って簡単に紹介しておこう。

 

*フェアリング: −

フェアとは、競技における「公正」とおなじく「順当」の意味であり、フェアリングとは、滑らかな流線形にすることを言う。和文では敢えて曲面「順整」と訳される。

もともと船型設計線図: ラインズに描かれた線群は矛盾なく曲面を表現していない。図面のスケールでは曲りがきつく、雲形定規か塑性で形作る自在定規でしか描けず、また計画時点では現図レベルの精度は要求されていないからである。

そのラフな線群を正確に同一空間曲面に属するよう調整する作業が、このフェアリングなのである。

 

数値で曲面を表現するには、作画のように線群とせず、初めから曲面とする方式があるが、この方式「船型創成」での船型設計は、フェアリングを要しない。

コンピュータ以前に、テーラー船型のような数式型状が研究されていたこともあり、この船型曲面のコンピュータ化は当初は容易だろう…と短絡的に見なされたが、実際はそう簡単にはゆかなかった。バルバス・バウやスターンなど局部船型での複雑化が、その理由ではなく、船型全体が複雑な境界を持った曲面の集合だからである。

 

したがって、このフェアリング・レベルのシステムは、よしんば船型創成であっても、コンピュータが補助役の典型的なCADであって、システム機能は作業支援のツール: 道具でしかない。運用は、ひたすらシステム操作者の経験/熟練/勘に裏打ちされた「読み」判断に依存する。この人為的な特徴が、このシステム下流に接続する数値現図サブ・システム群とは、質的に異なる。

 

 

 

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