第III章 管内中小造船・舶用工業の方向と方策
前章までに対象新規事業分野を「小型観光用船舶」と「FRP・アルミ陸上製品」として、各々の分野について市場特性を把握し具体的課題を抽出した。
本章では、管内造船業界が抱えている根本的な業界特質や課題を明示した上で、対象新規事業分野参入の具体的課題を解決するための方策を探っていく。
1. 管内造船業界の課題の整理
管内中小造船事業者の現状課題としては以下の2点があげられよう。
管内の中小造船事業者の多くは経営が零細であるがため、大きくは上記2点の課題を抱えたまま、その解決策を見出せずにいるのが現状である。したがって、自らの事業の領域や中長期的な経営ビジョンが明確化されておらず、自社の将来を描写できていない。
漁船建造はFRP成形加工をはじめとした極めてハンドメイドな特殊技術を要する。ハンドメイドであり量産品でないがため、中小造船事業者の多くは一般的な製造業に求められる「精度」「コスト」「納期」等の要求の比較的厳しくない分野に安住してきたことは否定できない。その中で、「漁船造修」が消滅はしないが先細りしていく分野であることは十分に認識されているものの、今まで自らの経営の主要を占めていた漁船造修の減少に対する危機意識は多少不足しているように思われる。
従来からの需要先に依存した経営には限界が生じていることは明白であり、これまでの発想にとどまらない「連携」「共同化」等の可能性について真剣に検討する時期に来ている。