一般的に「バリアフリー化」の対象者と考えられるのは、
・一人で外出が可能な程度の軽度の障害者、老人、子供、妊婦等
・介護者が同伴の車椅子を使用する肢体不自由者及び視覚障害者、聴覚障害者等
であり、この中でも特に小型観光船に乗船する頻度が高いのは、時間的・経済的に余裕があり国内観光需要者の中心となっている高齢者である。これからの小型観光船について検討する場合においては、「ユニバーサル」を理想としながら「バリアフリー」の観点で実績を積み上げていくことが肝要と思われる。
また、そのアプローチ方法としては、船舶のハード面とソフト面の2つのアプローチが考えられる。このうち、ソフト面、特に造船・舶用工業だけの対応では改善不可能な分野(乗降場までのアクセス、乗降場の構造改善、乗務員の人的対応など)については、観光船保有事業者等との長期的な検討を要する事になる。
一方、船舶に関するハード面では、以下の事項の改善について検討することが考えられる。
1]乗降時の障害解消
・乗降口の段差の解消または軽減
・有効幅の確保(車椅子対応)
・転落防止措置を講ずること など
2]船内での移動の容易さ
・船内の段差の解消または軽減
・通路、出入口等の有効幅の確保
・車椅子を置くスペースの確保
・手摺りの設置
・天井の高さ など
3]船内での快適さ
・日よけ、風よけ
・揺れを抑える船型の検討 など
前述したとおり、管内の小型観光用船舶保有事業者の約7割は地元の中小造船事業者に船舶の発注歴を持っている。小型観光船の「ユニバーサル化・バリアフリー化」を研究テーマとすることは、既存顧客との永続的な関係を強固なものにすると同時に、管内以外の造船事業者に発注している顧客に対する提案力の強化向上を図るうえでも意義のあるものであろう。
しかしながら、そのほとんどが零細経営である管内の造船事業者が個別で対応するのには自ずと限界があるため、舶用工業等関連業界との連携は無論のこと、「官」・「学」の各種支援制度等(例えば、行政等の各種助成制度や、新潟大学地域共同研究センターの指導機能・コーディネート機能等)の活用を含めた業界内外での組織的取り組みで対応すべきテーマと考えられる。
「共同化」については第III章にて詳述している。