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今回の試作機では、POR衛星を測位に使用する際に、UDREIで判断しURA情報を考慮していなかった。

改訂されたMOPS(DO-229B)では、URAが8以上の場合使用を禁止する事が追加されたことから、今回発生した矛盾は防止される。

ただしType24とType9はその更新周期が異なることから、的確な処理については受信機において考慮する必要があろう。

 

2月3日の飛行時の測位結果で誤差がゆっくりと増加していき、急激に減少している個所が見られる。(03:00:00〜03:08:00と03:40:00〜03:50:00付近の2箇所)

収録したデータの解析の結果、この時低仰角の衛星が存在し、仰角の減少と伴に誤差が増大し、衛星が不可視領域に達した時点すなわち測位に使用しなくなった時点で誤差が急激に減少していることが判明した。

MOPSではGPS衛星の仰角についてはPAモード時7.5度以上の衛星を使用するよう規定されている。

誤差の増大は低仰角での電離層・対流圏伝搬遅延及びマルチパス等によるものと推測される。測位の連続性確保の点からは可能な限り使用するのが望ましい。今回の増加した誤差はHPL、VPLを越えるものでは無かったがPAモード以外のモードにおいても仰角は考慮する必要はあるものと考える。

 

2.3.7 飛行評価試験のまとめ

 

第1回目は米国WAAS衛星PORを対象とし、第2回目はMTSATの試験放送受信を予定して計画したが、MTSAT計画の変更により、第2回目は第1回目と同様PORを対象として実施した。

第1回目はPORは試験放送の初期段階にあり、放送時間も不定期で5回の飛行の内2つの飛行についてPORのWAAS測位及び補正情報を収録できた。

第2回目の飛行試験ではPORは試験放送ではあるが実際の運用に近い形で放送しており、予定した全ての飛行でWAAS測位が可能であった。

PORは米国のWAAS衛星であり衛星数、伝搬遅延補正情報などにおいて制限がありWAASが提供する全ての情報を利用しての評価は実施することはできなかったが、全ての飛行でPORによるWAAS測位精度はGPS単独測位に比し大幅に向上していることが確認できた。

合わせてMOPSに準じて開発した受信機が要求通りの機能・性能を有していることも確認できた。

 

オフラインでの処理ではあるがMSASとほぼ同等と想定される電子航法研究所殿GNSS試験システムによる補正情報での測位演算結果での誤差はRMSで4〜5mという結果が得られた。

MSASの運用開始後は更に精度向上が期待される。

今後サービスされる全ての情報を利用しての定量的な評価がなされることが望まれる。

 

 

 

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