第5章 情報公開と文書管理システムの事例
第1節 千葉県における「公文書公開請求管理システム」の構築
千葉県では、公文書公開に関する事務の改善を図るため、現在、「公文書公開請求管理システム」の開発を行っています。このシステムの供用開始は、平成12年4月の予定ですが、その概要について紹介させていただきます。
1 開発の経緯
本県における公文書の公開請求は、この数年増大の傾向にあり、平成10年度に公開等の決定を行った公文書の数は約4万4千件に及んだ。
また、平成10年度に最も処理件数が多くなった担当課では、年間約5千件の公開事務を行ったが、各担当課の事務負担も小さくないものになっていた。
一方、公文書公開の総合窓口では、公文書公開条例が、公文書公開の実施状況を毎年5月末に公表することを義務づけているところから、公文書の公開事務を行った担当課から実施状況の報告を受け、県全体の実施状況を取りまとめている。
具体的には、担当課から公文書公開に関する各種通知書の写しの送付を受け、その内容をパソコンにキーボードから入力し、統計処理を行うことによって、実施状況の公表を行っているが、これらの各種通知書は、各担当課がワープロやパソコンを用いて作成したものであり、総合窓口における統計処理のためのパソコンへの入力は、いわば「再入力」ともいえる作業であった。
更に、各担当課が事務処理を行う公文書公開の請求には、定型的な決定が可能なもの、複数の請求者から同一の公文書の請求がなされたものなど、同一内容の決定で済むものも少なからず含まれていた。
ところが、独立型のパソコンやワープロによる処理では、過去の決定事例の内容が職員間、部局間で共有されることは、ごく狭い範囲に限られ、ほぼ同一内容の請求に関する決定事例が既に存在したとしても、あるいは、希少で参考とすべき決定事例があったとしても、情報を共有する手段が確立されていなかったため、それらは必ずしも活用されることがない状態であった。
そこで、平成10年の夏、これらの課題の解決、公文書公開事務の改善と効率化のために、庁内LAN・WANを利用した電算処理システム「公文書公開請求管理システム」を開発する構想が浮上し、以後、平成12年4月の供用開始をめざして、その実現が図られることとなった。
本県の庁内LAN・WANは、知事部局の本庁と主な出先機関、各委員会、県議会等を結ぶ形で、すでに「文書管理電算システム」等の各種の事務システムや、イントラネット、メールシステム等が稼動しているものであるが、「公文書公開請求管理システム」の構築に当たり不可欠な施設基盤となっている。