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・行政文書ファイル管理簿の更新は、週、月、期などの一定期間を単位として行われるため、現在作成中の行政文書や作成されたばかりの行政文書の文書件名は登録されていないということがあり得る

・行政文書ファイル目録を情報公開窓口に配架しているが、住民が知りたい情報を容易に特定できる目録形式になっていないものや、住民には理解できない文書名によるものなど、検索のための使い勝手についての配慮が不十分な例が散見される

このように、行政文書ファイル目録の整備は、本来、開示請求者及び行政機関の両者にとっての負担軽減という効果が期待できるとともに、情報公開制度の円滑な運用にも有効な手段であるはずであるが、すべての地方公共団体の窓口において、十分にその役割・機能を果しているとは言い難く、何らかの方策が必要である。

 

2 所在案内システムと文書管理システムの連動

 

行政文書ファイル管理簿の作成と利用における問題点を解決する方策の一つとして、当該機関が保有している行政文書を容易に検索できる機能を有する所在案内システムを指摘することができる。

所在案内システムは、電子的な文書管理システムにおいて当該機関が保有する行政文書(電子文書及び紙文書の所在情報)が適正に管理されていることを前提として、電子的な文書管理システムと連動し、随時、行政文書の登録、更新、保管、保存、廃棄等の記録が自動的に行われるデータベース・システムである(図-1)。

また、所在案内システムは、庁内の情報公開窓口などにクライアント端末を設置し、住民はこのクライアント端末で文書件名や書誌事項、キーワードなどを入力又は選択し、該当する行政文書を容易に出力できる検索・表示機能を有するものである。

所在案内システムは、庁内の情報公開窓口等の端末からだけではなく、インターネットやケーブルテレビなどを通じて24時間利用可能にすることも技術的には可能であり、住民サービスの一環として、このような技術の導入を検討することが望ましい。

なお、行政文書ファイル目録データベースは、行政機関の職員が利用するだけではなく、住民が閲覧・検索するものであり、文書件名や書誌事項には、個人情報の記載の有無を確認し、適切にマスクができるシステムを構築する、あるいはデータベース登録時に個人情報部分を削除するなどの運用ルールを確立することが重要である。

 

 

 

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