第3節 文書の電子化技術の検討
文書管理システムの目的は、情報共有・活用による行政事務の効率化を実現し、情報公開、更には住民サービス提供に対応することにある。このためには、行政文書を組織管理、情報共有、流通、再利用及び活用させることが必要不可欠となる。
従来、行政文書は紙媒体をベースに管理されてきたが、行政事務の効率化や情報公開、住民サービス向上へ十分に対応するためには、行政文書を紙媒体で管理していたのではおのずと限界がある。情報の共有や流通、再利用といった概念は、デジタルで表現されるコンピュータ・システムが得意とするものであり、紙媒体の情報には馴染み難いものである。
行政事務において行政文書を紙媒体で管理することは、検索、参照、引用、管理などにおいて、次のような問題を顕在化させている。
・ 文書の配布・伝達における時間とコストの問題
・ 文書の検索性の低さ
・ 再利用の際にはコピーに限定される問題
これに対して、行政文書を電子化するメリットは以下の点が挙げられる。
・ 文書の作成・編集の容易性
・ 文書の検索の容易性
・ 文書のデータベース化による索引情報など必要情報の抽出の容易性
・ 保管・保存スペース問題の解決
・ ネットワーク上で管理することによる全庁的な文書共有
・ インターネットなどを用いた情報の提供や他の媒体への変換の容易性
更に、行政文書を電子化し庁内で共有することにより、次のような副次的効果も期待できる。
・ サービス品質の標準化の促進
・ 業務プロセスの標準化
・ 職員のスキルの標準化
・ ナレッジ(知識)及びノウハウの共有化
ただし、行政文書の電子化にはメリットだけではなく、電子文書として保存する場合の記録媒体の寿命の問題や、電子文書の法的証拠能力の問題、職員の情報リテラシーなどの課題も内在する。
本節では、行政文書の電子化に関する動向や事例、技術的な観点からの検討、そして問題点について整理する。