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その反面、ファイリング・システムを経年的に維持管理していくこととなるファイリング責任者やファイル担当者の人員配置などの組織改革や意識改革を必要とし、全庁的に導入及び維持するための労力が大きい仕組みである。

ファイリング・システムにより情報公開制度への対応を図るためには、定期的な行政文書ファイル目録の作成と、情報公開窓口などにおける公開が求められる。

一方、管理対象となる媒体は紙文書に限定されるため、開示申請の受付から文書の開示までを電子的な仕組みにより行おうとする場合や、住民サービスのための情報提供を電子的な手段(ホームページなどによる情報提供等)により行うといった観点からは、将来のシステム間の連携度の低いアプローチと考えられる。

 

(2) 電子的な文書管理システムによるアプローチ

電子的な文書管理システムによるアプローチは、行政文書の目録だけではなく、本文及び添付資料まですべてを電子化することにより、庁内での権限に応じた閲覧、参照、複写、引用が可能になる仕組みである。また、行政文書の発生から流通・保管・保存・廃棄に至る文書のライフサイクルと関連した業務処理を電子的に行うことによる行政事務の効率化を可能とする仕組みである。更に、電子文書を原本として保存することによりペーパーレス化を実現し、文書の保管スペースの問題の解消や、文書のライフサイクルのあらゆる場面での文書の再利用の可能性を広げる仕組みである。

しかし、情報インフラとして庁内LANの構築が不可欠であり、この庁内LANを利用するために最低でも組織の最小単位に1台以上のパソコンの配置が必要となる。また、全庁的に高機能な文書管理システムを導入する場合には、その情報化費用(ハードウェア,ソフトウェア,職員研修)も膨大となり導入への敷居は高いと考えられる。

一方、情報公開への対応や住民サービスの向上の観点からは、行政文書ファイル目録データベースなどの情報提供系システムとの統合も可能な仕組みであり、柔軟な文書検索を行うことのできるアプローチと考えられる。

更に会計管理などの業務システムとの連携も可能であり、一層の事務の効率化を図ることができる可能性も内在している。

 

 

 

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