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第2節 文書管理システムの構築

 

「地方自治コンピュータ総覧」(平成11年度版)によると、地方公共団体の庁内LANシステムの整備状況は、都道府県で97.9%、市町村で51.8%となっており、市町村では都道府県に比べて、庁内LANシステムの運用が遅れている状況にあることが分かる。更に、市町村の中では、イントラネット・システムの構築や、電子メールを始めとするグループウェア・システムの導入を行う団体もあり、市町村間での情報化の格差が見受けられる。

庁内LANシステムの導入は、OA機器の導入と合わせて、行政事務の中の少量・非定型業務の効率化を実現するための基盤となるものであり、文書管理システムの構築には不可欠なものとして位置づけられる。

一方、情報公開法では情報公開制度を地方公共団体レベルで総合的に整備することを求めており、そのための「文書の適正な管理」が必要事項となる。言い換えると、情報化格差の如何にかかわらず、すべての地方公共団体が「文書の適正な管理」の実現を迫られており、今後は地方公共団体の情報化の進展に合わせた文書管理の仕組みの整備が求められている。

 

1 文書管理改善のための管理手法の類型化

 

文書管理改善のためには、文書の発生から廃棄までの文書のライフサイクルについて一貫したルールに基づいて管理できる仕組みを確立することが重要である。管理手法を大きく分けると、紙文書のライフサイクルを管理するファイリング・システムと、電子的な手段による文書管理システムの2とおりに大別できる。

 

(1) 紙文書のライフサイクルを管理するファイリング・システム

ファイリング・システムは、紙媒体の文書を主体として、文書の発生から保管・保存・廃棄に至る文書のライフサイクルを、文書管理規程に基づき組織的に管理する仕組みである。

ファイリング・システムの実現のためには、組織的に「保管単位の設定」「ファイル基準表の作成」「文書のライフサイクルを管理するルール化」を図る必要がある。

ア 保管単位の設定

行政文書の体系的な管理を行うために、文書の保管単位を設定し、その単位ごとにキャビネット、フォルダー、バインダー、ファイルボックスなどの保管用品を用いて行政文書の集中管理を行う。

保管単位の設定が「個人」であった場合は、個人としての利便性は図られるが組織全体としての管理面からみれば問題は大きい。逆に、保管単位が「全庁」であった場合は、全庁的な集中管理は実現できるが職員個人の利便性が失われるといった問題がある。

通常は業務の基本的な単位である課単位に保管単位が設定されることが多い。

 

 

 

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