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また、今後、地方公共団体の多くは、情報公開制度の導入にあわせ、文書を組織のものとして体系的に整理・保管・保存・廃棄するためにファイリング・システムや電子文書として情報を管理する文書管理システムを導入することが見込まれる。こうした仕組みを維持管理していくためには、組織として管理を行う単位(通常は課単位)に、文書取扱主任やファイル責任者等、文書管理責任者を配置するなど文書管理のための組織・体制を明確化する必要がある。

 

4 文書管理の対象範囲と情報公開の関係

 

情報公開法の成立を始めとする情報公開を取り巻く社会情勢の変化から情報公開条例の改正論議が起きており、決裁、供覧その他これに準ずる手続を終了したものという要件を廃止し、情報公開法と同様に「実施機関の職員が組織的に用いるものとして実施機関が保有しているもの(組織共用文書)」とするなど、情報公開の対象とする行政文書の範囲の拡大を検討する地方公共団体もある。更に、新たに情報公開条例を制定する地方公共団体の多くでは、情報公開法を基準として情報公開の対象文書の範囲を定義する傾向も見受けられる。

このように「情報公開の対象文書の範囲」が拡大する傾向にあるのであれば、文書管理において管理すべき文書についても、決裁、供覧その他これに準ずる手続を終了した文書を管理するだけでは情報公開に対応できない。

つまり、文書管理において管理すべき文書の範囲は、情報公開条例が開示対象とする文書の範囲とするべきである。

 

5 適正な文書管理のための組織体制の再整備

 

近年の情報公開に対する社会的な要請の高まりは、行政改革の一環として位置づけられている。そのため、情報公開条例の制定は地方公共団体の行政改革に大きく寄与するとともに、地方公共団体においては社会情勢の変化に対応した効率的な行政制度とその運営が求められるようになってきている。

言い換えると、情報公開制度の運用、つまりは行政における適正な文書管理の実現は、組織体制の再整備(行政システムの改革)との連動なくしては実現できないと言える。

以下に、適正な文書管理のための組織体制の再整備について整理する。

 

 

 

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