日本財団 図書館


(5) 文書の保存期間基準の設定

行政文書は、その文書作成の直接の原因となっていた事案の目的が達成された後も、今後の事務を行う上での資料あるいは証拠資料として、一定期間保存する必要がある。このような趣旨に基づく行政文書の保存にあっては、文書保存に関する法令や条例などによる法定保存期間を遵守すべきことは当然として、それ以外にも、個々の文書の作成目的や再利用の可能性などを総合的に検討した上で、個々の事案の目的達成時からの保存期間を決める必要がある。地方公共団体の多くは、次に示すような基準に応じて、保存期間を永年保存、10年保存、5年保存、3年保存、1年保存、随時廃棄(1年末満)などと保存期間の基準を設定している。

・ 法令などによる保存期間の指定

・ 契約期間、適用期間など内容の効力

・ 時効期間など証拠価値

・ 利用度

・ 歴史的重要性

・ 二次的資料などによる代替の難易

 

こうした文書の保存期間については、情報公開制度の運用を見込んで、文書管理規程などの中に含めて定めることが望ましい。また、今後は、行政運営上の観点だけではなく、住民にとっての利用価値や情報そのものの歴史的・文化的価値という点も考慮されるべきである。

更に、電子情報の保存期間についても具体的な検討を行う必要がある。電子情報であっても紙の文書に関する規程などをそのまま適用して差し支えないものであれば特に改めて検討をする必要もないであろう。しかし、電子文書固有の特性を考慮しなければならない部分については、新たに検討し、あるいは、既にある文書管理規程などの見直しをすべきことになる。特に電子計算機や電子媒体など電子情報の保存に係る機器や電子情報のフォーマットについては、技術革新に伴う機能面の変化が著しく大きい。他方で、電子情報の保存に当たっては、

ア 真正性

・ 権限を有する者によって作成された文書であることを保証すること

・ データの故意又は過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION