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(2) 行政文書分類基準表の作成

行政文書の適正な管理を実現するためには、担当者が組織上の規律を離れて行政文書を私的に作成・管理するような事態の発生を避けるとともに、不要不急な文書が無駄に作成されるようなことを抑止し、そして、文書が組織的に作成され、管理され、分類整理されていることが求められる。また、情報公開制度では、行政情報の開示請求を受けた時点から一定の期間に公開の可否を決定し、公開可能なものは速やかに開示することが求められている。この要請を実現するためにも、必要な時にいつでも簡単かつ迅速に対象情報が取り出せるようにすべく、行政情報の組織的な分類整理が必要不可欠である。

従来から事務の効率化のために、地方公共団体の多くは行政文書分類基準表を作成し、これに従ってファイルの作成と保存期間の設定を行い、その結果を行政文書ファイル管理簿などに記載して行政文書を管理している。実際に採用されている行政文書の分類の手法について見ると、多くの地方公共団体においては、大分類・中分類・小分類、あるいは第1分類〜第N分類の3〜5段階程度のツリー構造を構成し、最下層の分類の下に個々の文書名(電子的な文書管理システムではファイル名)を設けている場合が多い。そして、多くの地方公共団体では、定期的に(通常は年に1回程度)この行政文書分類基準表の見直しを行い、必要があれば改訂している。

 

(3) 文書作成の責務の明確化

情報公開制度のもとでは、条例の適用対象となる行政文書について、文書作成の要否の基準及びその作成責任者が明確にされている必要がある。それぞれの地方公共団体によって情報公開の対象となる行政文書の範囲は異なるが、当該機関に文書作成の要否の基準がないにもかかわらず、そこで作成された意思形成過程の文書などが行政文書として見なされ開示対象として公開されるような事態を想定すると、当該文書の内容が個人レベルの段階の文書であったにもかかわらず、開示請求者には行政組織の意思として作成された文書であるとの誤解を招き、無用の混乱を招くおそれもあるからである。こうしたことから情報公開制度のもとでの行政文書の作成に当たっては、行政組織としての様々な要請に鑑み、文書作成の要否の基準と作成責任者の明確化を図る必要がある。

 

 

 

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